マチネタ
- 107号:マチネタvol.49
- 発行日:2024年01月31日
今回は埼玉県加須市のカスリーン公園を紹介します。
カスリーン公園
カスリーン公園は、埼玉県加須市新川通(しんかわどおり)の利根川スーパー堤防上に作られた公園で、正式な名称は童謡のふる里おおとねカスリーン公園です。この公園は、昭和22年(1947)に発生したカスリーン台風による大災害を忘れないために、当時の決壊箇所に造られました。公園内には利根川堤防の決壊碑と、「カスリーン台風の碑」と称されるモニュメントが設置されています。

カスリーン台風は、南方洋上に発生して本州へと接近し、日本列島に停滞していた秋雨前線を活発化させて、各地に豪雨をもたらしました。荒川流域の秩父観測所では、13日から15日の間に611㎜の降雨量を記録しました。利根川流域においても豪雨となり、渡良瀬川(足尾)では380㎜、鬼怒川(黒部)と烏川(三ノ倉)では400㎜を記録しました。大洪水の発端となったのが、濁流に洗われていた利根川右岸堤防(新川通)の約350mにわたる大決壊で、流れ出た濁流は、葛飾区、足立区、江戸川区までも水没させました。この他にも利根川とその支派川で合わせて24カ所が決壊し、群馬県の赤城山麓や栃木県足利市では土石流や河川の氾濫が多発して、多くの死傷者を出しました。

利根川上流河川事務所では、平成4年から利根川堤防が決壊した9月16日を「治水の日」と定め、令和4年にはこの公園で慰霊式典と継承式典が行われました。
カスリーン公園(かすりーんこうえん)
住所:埼玉県加須市新川通