マチネタ

  • 91号:マチネタvol.33
  • 発行日:2020年1月31日

今回は利根運河を紹介します。

利根運河

利根運河は、千葉県柏市、流山市、野田市を流れる、利根川と江戸川を結ぶ全長約8.5キロメートルの運河です。
江戸時代初期の利根川東遷事業により、東北地方の太平洋岸と江戸を結ぶ水運として、銚子から利根川を遡行し、関宿から江戸川を下るルートが開拓されました。房総半島を回るよりも安全だったため、多くの船がこのルートを選びました。しかし、一部に浅瀬があって大型船が通航できず積み替えが必要だったこと、距離が長かったなどの理由から、途中は陸路を利用する事もありました。



明治時代になり、輸送量の増加からこの陸路でのショートカット部分に運河を開削するという計画が立てられ、利根運河株式会杜が施工しました。設計、監督はオランダ人技師ムルデルがあたり、明治21年から23年にかけて総事業費約57万円、工事従事者は延べ200万人以上にものぼった大工事でした。開通後は、1日に100隻を超える船で大いに賑わい、料金所が置かれた船戸と深井新田は、船頭や先客相手のお店が立ち並びました。



多くの船で賑わった利根運河も、明治29年の鉄道の開通により衰退が始まり、昭和16年の大洪水により運河の機能が停止し、約50年の歴史に幕を閉じました。現在の運河は治水、利水の役割も終え、豊かな自然環境と良好な景観により地域資源として地域住民の方から大切にされています。

利根運河(とねうんが)
住所:千葉県柏市、流山市、野田市


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