診療科案内

当院の診療科を紹介します。

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泌尿器科

泌尿器科について

泌尿器科では主に尿路(腎、尿管、膀胱、尿道)と男性生殖器に関するすべての病気(感染症、結石、悪性腫瘍、神経性疾患、先天奇形など)を扱っています。女性では膀胱炎や尿失禁、男性では前立腺肥大症や尿管結石などが代表的です。また、男女問わず高齢の方では過活動膀胱とはじめとする頻尿の治療を行っています。当院では内視鏡的手術などによる尿路結石治療、前立腺肥大症に対する経尿道的手術(HOLEP)、悪性腫瘍の精査・腹腔鏡を用いた外科的治療にも力を入れています。血尿や排尿障害のある方、検診で異常を指摘された方など、御気軽にご相談下さい。

男性機能障害

当院には他院の性機能専門外来も非常勤で担当している性機能学会専門医が常勤しており、男性更年期障害(LOH症候群)、勃起障害(ED)、早漏などの射精障害などについての相談・診断・治療を行っています。

男性更年期障害(LOH症候群)はだるい、疲れやすい、仕事に集中できないなどの症状を伴うもので、内科や脳外科など様々な診療科を受診しても異常がわからないような方が、実は男性ホルモンが低下していることが原因であることがあります。問診などで症状を確認し、男性ホルモン補充療法を中心に治療を行います。

EDについてはPDE5阻害剤内服を第一選択として、内服だけでは無効の場合には男性ホルモン補充療法の併用、陰圧式勃起時補助具や陰茎海綿体注射などの治療を行っております。

早漏、遅漏などの射精障害に関しては、原因を探ると同時に効果の期待されている内服薬を処方しております。男性更年期障害、EDに共通する要因として肥満や、高血圧、糖尿病などの因子についても検索し、投薬のみならず生活指導も併せて施行しております。

男性更年期障害(LOH症候群)

男性更年期障害の中でも、泌尿器科が扱うLOH症候群は男性ホルモン(テストステロン)の減少が引き金になっていると考えられます。女性の場合は女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで様々な症状が出ますが、男性の場合は、女性ほど急激にホルモンは減少しませんし、その減少の程度には個人差がかなりあります。仕事や家庭でのストレスも加わり徐々に症状が現れますが、周囲にはなかなか理解してもらえず、独り思い悩むことになります。

LOH症候群の特徴として、ほてりや冷え以外に、精神的にはうつ症状や不眠、体力的には筋力の衰えや体のだるさ、性的には性欲がなくなる、朝立ちの回数が減少するなどの症状が強く現れることです。神経質でまじめ、責任感や競争心が強く、几帳面またはせっかちな人は男性更年期障害を発症しやすいと言われています。

診断の基準となる、テストステロンの値については参考にはするものの、最新のガイドラインに基づいて症状中心に治療適応を決定します。男性機能外来では初診時に質問紙表、身体検査、血液検査を行い、前立腺癌の危険性が無いことを確認した後、2~4週間に1回の割合でテストステロン補充療法(注射もしくは軟膏)を行っています。テストステロンの値自体と症状の重症度が相関しないことから、実際に治療を行ってみないと有効性についてはわかりませんが、効果が得られない場合には3回以内で当科での治療は終了としています。

「最近だるい」「疲れやすい」「仕事に集中できない」などの症状があり、「自分がLOH症候群かもしれない……」そう思ったときは以下のチェックリストに記入してみてください。

男性の老化症状に関する質問票(AMS Questionnaire)

現在、あなたにあてはまる以下の症状がありますか。あてはまる症状の程度に○をつけてください。
もしも、あてはまる症状がない場合は、「なし」の項に○をつけてください。

症状 なし 軽い 中程度 重い 非常に重い
1.総合的に調子が思わしくない (健康状態、本人自身の感じ方) 1 2 3 4 5
2. 関節や筋肉の痛み(腰痛、 関節痛、 手足の痛み、背中の痛み) 1 2 3 4 5
3. ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る。緊張や運動とは関係なくほてる) 1 2 3 4 5
4. 睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早く疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない) 1 2 3 4 5
5. よく眠くなる、しばしば疲れを感じる 1 2 3 4 5
6. いらいらする(当たり散らす、些細なことに直ぐ腹を立てる、不機嫌になる) 1 2 3 4 5
7. 神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない) 1 2 3 4 5
8. 不安感(パニック状態になる) 1 2 3 4 5
9.からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかせないと何もしない) 1 2 3 4 5
10. 筋力の低下 1 2 3 4 5
11. 憂うつな気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、意欲がわかない、気分のむら、無用感) 1 2 3 4 5
12. 絶頂期は過ぎたと感じる 1 2 3 4 5
13. 力尽きた、 どん底にいると感じる 1 2 3 4 5
14. ひげの伸びが遅くなった 1 2 3 4 5
15. 性的能力の衰え 1 2 3 4 5
16. 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少 1 2 3 4 5
17. 性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求がおきない) 1 2 3 4 5

症状の重症度の評価方法は17~26点が「なし」、27~36点が「軽度」、37~49点が「中等度」、50点以上が「重症」となります。

早漏

本邦では海外と比較して早漏に対する関心、認識が低いとされていましたが、2023年に本邦で行われた調査によれば、早漏の患者さんは全国で910万人(23.39%)いらっしゃり、そのうち51%の方が治療を希望していることがわかりました。しかしながら実際に治療を受けているのはそのうち1割にも満たない4.8%の方でした。

早漏の定義は射精のタイミングがコントロール不可能で、本人及びパートナーの心理的苦悩の存在があることとされています。自分が早漏かもしれないと思った方は以下のチェックリストを記入してみてください。

早漏診断ツール

これは性交の際に早く射精してしまうという問題を抱えている可能性がある男性を識別するための質問票です。たとえあなたが困っていると感じていなくてもすべての質問に答えてください。

  • 下記の質問ごとにあなたの答えを最もよく表している数字にチェックをつけてください。
  • 質問ごとに1つの番号のみにチェックをつけてください。
  • これらの質問に対する答えに正解、不正解はありません。
  • あなたの感覚は場合によって変化するかもしれませんが、ここで教えていただきたいのはあなたの性交時の全般的な感覚です。
定義:この質問票における「射精」とは挿入後(あなたのパートナーへのペニス挿入後)の精液の放出を指します。

質問1 全く難しくない 少し難しい 難しい とても難しい 非常に難しい
あなたにとって射精を遅らせるのはどのくらい難しいですか? 1 2 3 4 5

質問2 全くもしくはほとんどない 半分以下の頻度
25%
約半分の頻度
50%
半分以上の頻度
75%
常にもしくはほぼ必ず
100%
あなたが望むより前に(意思に反して)射精してしまいますか? 1 2 3 4 5

質問3 全くもしくはほとんどない 半分以下の頻度
25%
約半分の頻度
50%
半分以上の頻度
75%
常にもしくはほぼ必ず
100%
少しの刺激で射精してしまいますか? 1 2 3 4 5

質問1 全く 少し 中くらい かなり 非常に
あなたが望むより前に(意思に反して)射精してしまうことに不満を感じますか? 1 2 3 4 5

質問1 全く 少し 中くらい かなり 非常に
あなたの射精障害が原因で、相手を満足させられないままとなってしまうことを、どれくらい心配していますか? 1 2 3 4 5

合計スコアが11を超えると早漏と診断され、9または10は早漏の可能性が高い、8未満は可能性が低いと診断されます。

早漏の治療法には行動療法と薬物療法があります。

行動療法としては、ストップ・スタート法や、スクイーズ・テクニックが挙げられます。

本邦ではマスターベーション器具を使用した8週間のトレーニングにより射精までの時間が3分から6分に有意に改善した報告や、負荷のかかる運動を長期間行うことで改善が期待できることが報告されています。

薬物療法については、現在内服されているお薬との飲み合わせを調べた後に、個々の患者さんに適切な薬剤を1つずつ試しながら治療を進めていきます。

早漏は苦痛、悩み、欲求不満、性的行為を避けるという非常にストレスのかかる疾患ですが、性に関するデリケートな問題であるため実際は受診しにくいと思います。近年では早漏などの射精障害は、勃起機能同様に糖尿病などの全身疾患との関連が報告されており、非常に注目されている分野になります。是非一度、健康診断の一環として「ついでに男性機能も調べてみる」という軽い気持ちで受診して頂ければと思います。


診療実績について

この科の診療実績については診療情報内の診療実績にて公開しています。

受付時間

午前:07:30~11:00 ※診療開始は9時からとなります
午後:予約患者さんのみ
※土曜日の診療は第1、第3のみとなります

診療表

午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前 午後 午前
末富 交代制
市岡 交代制
安藤 交代制
阿部
櫻井


NCD(National Clinical Database)への参加について

当院はNCD参加施設として、当科で行われている検査、治療の契機となった診断、手術等といった情報をNCDに登録します。これらのデータは厳重に管理されると共に、医療の現状を把握し、医療の質改善に向けた検討を行うために使用いたします。この事業への参加は、患者さんの自由な意思に基づくものであり、参加されたくない場合にはデータ登録を拒否して頂くことができますので、その場合には診療の際にお申し出下さい。なお、登録を拒否されたことで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ありません。
詳細につきましては、以下のサイト、資料を参照下さい。

一般社団法人National Clinical Database 
患者さん向け資料