
問い合わせ
初期研修医 J2(令和6年度)
福岡大学卒業 / 茨城県出身
茨城出身の渡辺が福岡で学んだ後に故郷に帰ってきたことには、明確な理由があった。
「実家の近くがよかったからです。社会人1年目は不安だらけだし、特に医師という職業は心身ともにハードです。自分を癒やすためにも、すぐそばに家族がいてほしいと思いました」
その選択を、心からよかったと思えたのが1年目の夏だった。その日の渡辺は当直。ことのほか救急搬送が多く、目の回るような忙しさで渡辺は処置に追われた。そして残念なことに、全員の命を救えたわけではなかった。
「当直を終えて帰るとき、車の中で号泣しました。私にもっと技術があったら、と」
普段は寮で暮らしている渡辺だが、実家にはしょっちゅう帰っている。この日も、何もできなかったという無力感を抱えたまま、実家に帰った。
家族はそんな渡辺を優しく迎え入れ、包み込むような穏やかな時間を与えてくれる。
「おかげで次の日に負の気分を引きずることなく、もっと頑張ろうと切り替えることができました」
もちろんこうした経験ができるのは、たとえ初期研修1年目であっても、責任ある仕事を任せてくれる環境があるからである。
「指導医の先生の最初の一言が“自分が主治医と思ってやってほしい”というものでしたから。正直、びびりました。でも、やるしかないんです。だから腹をくくって患者様に容態を尋ね、会話を重ねるようにしました。おかげでコミュニケーションスキルはかなり磨かれたと思います」
背伸びを促す環境があるから、頑張ろうという気持ちが湧く。
頑張れるから、気がつくと成長できている。
そんなサイクルが、ここにはあるのだ。
渡辺を支えてくれるのは、実家の家族だけではない。同期の研修医仲間も同様である。
「全員近くの寮に住んでおり、休日などにはよく集まって遊んでいます。もちろん仕事の話は多いですよ。こんな失敗をした、叱られたという話もしょっちゅうで、お互いにアドバイスしたり励ましたりしています。仲間の頑張っている姿も、成長へのいい刺激です」
ときには渡辺が聞き役になって言葉を返してあげることもあるそうだ。その経験は、初期研修2年目の今、後輩の研修医をサポートする上でも役立っている。これも成長の証しだろう。
目指しているのは内科医。
「1年目のローテーションで内科に回ったとき、長期入院の患者様に薬を処方したら改善が見られたという経験をしました。時間をかけて寄り添うように治療することにやりがいを感じ、内科医を志望するようになりました」
もちろん地元・茨城の医療に貢献したいという思いも強い。
それは、医師としてスタートした自分を優しく包むように育ててくれた、すべての人への恩返しだ。