リハビリテーション科 科長
筑波大学卒業 / 東京都出身
「目の前の患者さまにとって何が最もハッピーなことか、考えられる医師になってほしい」
若い医師に向けて、上野はメッセージを送る。穏やかで温かい人柄の上野らしい、ぬくもりのある言葉だ。
そこに込められているのは、医療のプロとしての自覚、責任がもてる医師に育ってほしいとの願いだ。
「卒前教育と初期研修医の最も大きな違いは、医師として責任ある働き方ができるかどうかです。手技を学んだり知識を吸収したりすることも重要ですが、何よりも医師として主体性をもって患者さまと向き合い、自らの責任で判断を下せるようになってほしい」
初期研修医であっても受け持ちの患者さまは持たされる。退院の際その患者さまから「ありがとう」の言葉をいただいたり、残念ながら亡くなってしまった場合にもご家族から「最期までよく診ていただきました」と感謝されたりする。
そうした「あなたでよかった」という言葉こそ、若い医師にとって最大のモチベーション。同時に日々努力する姿を患者にも見られているという意識は、自分に対する厳しさにつながっていく。
ここで経験するそんな一つひとつが、成長へのエネルギーとなっていくのだ。
「医師が最終的に目標とするのは、患者さまの満足がすべて。それが実感できたとき、医師は大きな誇りが得られるんです」
茨城西南医療センター病院は決して大きな病院ではない。病床は350ちょっと。医師もコメディカルも互いに協力し合い、助け合うことで現場を支えている。
「一つひとつのチームが小さいから、その中での距離感もチーム同士の距離感も短いんです。その結果、研修医に対しても全員で見守ろうという意識が根づいているし、科の違いを越えてみんなで育てていこうとしています」
上野は「僕らが研修医だった頃は野放しでしたよ」と笑う。今は体系的に学べるプログラムが完備し、研修医が基礎からしっかりと育っていく環境が整っている。だからこそ指示待ちにならずに主体的に仕事と向き合う姿勢を身につけなくてはならないのだ。
患者さまに満足していただける医師。感謝の言葉が返ってくる医療。
そのために必要な“覚悟”を、上野は研修医たちに伝えたいと考えている。