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副院長兼 脳神経外科 部長
筑波大学卒業 / 静岡県出身
「当院は、出番の回ってくる病院です。もちろん患者さんの安全が最優先ですが、その上で、初期研修医には常に何らかの経験を積ませるようにしています。救急搬送の重症患者でも初療から積極的に参加させています」
決して大きくない病院だから、そして若手の育成に本気で取り組んでいるから、藤田はとことん場数を踏ませようとする。
「医師にとってファーストタッチはとても重要です。その経験を重ねることで、実践力が鍛えられるんです」
もちろんそうは言っても、最初は誰でもまったく動けないそうだ。重篤な患者さんを前にして頭は真っ白になり、体は固まってしまうという。それが普通なのだ。
「半年ほどすると、見よう見まねながら少しずつ動けるようになって、2年目にはかなり戦力になってくれます。見て学び、体で覚える、ということですね」
こう並べると、藤田のやり方は厳しい指導法に感じられるかもしれない。 だが、安心して欲しい。決してそんなことはない。
「初期研修医にやらせてみて、もしそれが間違っていても、いきなり叱るようなことはしません。なぜその対応をしたのか、どう考えたのか、理由をじっくり聞いて、その上で正しい方法を指導します」
そんな藤田が特に力を入れているのが、脳神経外科に進むつもりのない初期研修医にこそ、神経救急の対応を学んで欲しいということだ。
「頭痛を訴える患者さんをそのまま帰してしまって、結果としてくも膜下出血を見逃してしまう、ということもあり得ます。脳は再生力が乏しく、重症化する前に適切な治療を開始することが重要で、すべての初期研修医に脳神経系の実践的なファーストタッチを学んで欲しい。それは将来にわたる、自分の財産になるはずだから」
むしろ脳神経外科に進まない人にこそ、その知見を。
その姿勢に、医師としての道を歩み始めた若者たちへの藤田の思いがにじんでいる。