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リウマチ ・膠原病内科 科長
筑波大学卒業 / 埼玉県出身
「僕の言うことが正しいとは思わないで欲しいんです」
指導医らしからぬ言葉を、さらっと口にする江辺。
「正しいかどうかは、自分で考えないと」
その真意とは何だろう。
「指示されたことを正しくできるようになると、一見、優秀な研修医が育ったように見えます。けれどそれは真に優秀な医者じゃない。なぜなら患者さまは、症状も生活も人によってまったく異なるため、正しい治療を行うためには考えるべきことが無数にあるからです。だから医者は自分で考え、判断する力を身につけなくてはなりません。言われたことを言われたとおりにやるのが医者の仕事ではないんです」
たとえルーティンに思われる手技でも、そこに至るまでとことん考え抜かれたものでなくてはならない。だから江辺は研修医に対して、とことん考えさせる。
「僕の言うことを鵜呑みにせず、自分で考えろ」と繰り返し伝える。
「そして茨城西南医療センター病院には、考えるための環境がある。
「30代後半から40代前半という臨床医として最も脂ののった年齢のドクターと一緒に仕事をして、学べます。大学病院だと教官クラスですから、話しかけることすら難しいでしょうが、ここならどんな質問でも遠慮はいりません。もちろん立ち話も大丈夫です」
しかもちょうどいい規模の病院なので、誰もが研修医の名前を覚え、挨拶してくれる。医師や看護師はもちろんのこと、リハビリのスタッフも、検査技師も、清掃のスタッフも、気さくに声をかけてくれるのだ。
その風土は「自分は見守られている」という感覚につながり、研修医としての安心感につながる。自ら考えるための基本となる“主体性”が自然と磨かれてくるのだ。
「ピリピリした雰囲気だったら、自分の考えを口にすることもできず、言われたことをこなすだけになってしまうだろう。垣根がなく、フランクな職場であることが、自ら考えることを促してくれるのだ。
「穏やかであることは重要なプロフェッショナリズム」と江辺は言うが、それは人だけでなく“環境”にも通じることだろう。
「自分で考える医師を育てられたら、その医師が生涯で1万人の命を救うかもしれない。そしてさらに次世代の自分で考える医師を育ててくれるでしょう。そんな志をもちながら研修医と向き合っています」
江辺の指導医としての根底には、名前のとおり、広い志があった。