初期研修医 修了(令和二年度)
筑波大学 卒業 / 茨城県出身
手にしたペットボトルのキャップに書かれた「あ」の一文字についてたずねると、「阿部の”あ”です。間違われないように」と、”そこ聞くか”というような大きな笑顔が返ってきた。そんな明るさと、とことんポジティブなところが阿部の持ち味だ。だから誰もが「阿部ちゃん」と気軽に声をかけてくる。
「皆さん、初期研修医のことを気にかけてくれて、別の科の先生までも“今はどこの科にいるの?”と声をかけてくれます。すごくいい雰囲気ですよ」
学生時代は大きなショッピングモールのカフェでアルバイトをしていたほど、人と接することが好きだ。医師の道を選んだのも、いろんな人と接したかったから。そのオープンな性格もあって、多くの人が阿部に声をかけてくるのだろう。
そんな阿部も、初期研修医としてスタートした頃は、ヘコむことが多かったという。「カルテの書き方とか、業務に慣れるのがとにかく大変でした。
あとは当直!重い患者さまが運ばれてきても、どうしらたいいかわからず、オロオロするばかりでした。そんなときは、ウジウジと引きずったものです」。
だが、研修中であろうと、当直に入ったら関係ない。一人の医師として患者さんに向き合わなくてはならないのだ。「気がついたら動じなくなっていました。ここにはあらゆる症例の患者さんが運ばれてきます。しかも、残念なことに地域柄か比較的重症の患者さんも少なくないんです。だからウジウジしてる場合じゃなく、とにかく体を動かさなくてはならないし、動かしているうちに環境に順応してきました」
それは、阿部にとって大きな成長。「目の前のタスクで精一杯ですけどね」とは言うものの、今やるべきことが判断でき、それに全力を費やせるようになったのである。「1年目の私でも、”やります”と言えばやらせてくれる。こんな病院、なかなかないと思いますよ」
初期研修医としての同期は5人で、そのうち女子3人が寮の並びの部屋に暮らしている。阿部の部屋に集まっての”部屋飲み”もよくあるとか。そんな仲間の存在も、阿部の支えだ。
「人に優しくありたいし、医師という仕事を楽しみたい。それがこれからの目標ですね」